MOBA・幸せ湧く話句「生きてるだけで丸儲け」

いつ頃どこで聞いたのかもはっきり覚えていませんが、明石家さんまさんが言ったのは確かです。さんまさんの熱心なファンでもないし、さんまさんの番組をよく見るほうとも言えませんが、この言葉だけはなぜか心に残っています。もしかしてさんまさんもどこかで聞いた言葉なのかもしれませんが、彼自身この言葉に感じるところがあったからこそ、ひとにも語ったのでしょう。誰だって、いったいこんなことをしていていいのだろうかと、落ち込むことがあります。そんなとき「生きてるだけで丸儲け」とつぶやくと、何かしら気がラクになります。思うようにコトが進まなくても、そうだ、今生きていること自体大きなトクをしてるのだと開き直れば、くよくよ、せかせかすることもないのですから。神様が人間に与えたパンドラの箱を誤って開けてしまったために全てが失われたが、慌てて閉めたので、残ったのは「希望」だったというギリシア神話を,なんの脈絡もないのに「生きてるだけで丸儲け」の言葉から感じるのです。◆◆それにしても、いつも感心するのは、明石家さんまさんにしても他のたくさんのお笑い芸人さんにしても、よくぞまあたいへんな職業を選んだものだなあ、ということです。ほかの商売なら、努力そのものを認めてくれる場合があります。が、お笑い芸人さんの場合は、笑いを取ることがすべてです。年がら年中、来る日も来る日もお客さんを笑わせなければなりません。そのためには、芸人さん自身もいつも楽しそうに笑っていなければならないのです。芸人さんにだって普段の暮らしがあり、心配ごとだってあるでしょう。でも、そんなところはおくびにも出さないで、大口を開け歯をむき出して大笑いした顔を見せ続けなければならないなんて、とうてい一般人には真似できません。そんなしんどい毎日を送っている方の口から出たことばだけに「生きてるだけで丸儲け」はなおさら心に響きます。いつでも幸せそうな笑顔を振りまいていなくても生きていられるだけでも、わたしたちは大儲けしていると言えるのではないでしょうか。

(写真:写団けやき 土田厚実)