MOBA・幸語歳時記「お遍路」

「お遍路が一列に行く虹の中 風天」 風天とはフーテンの寅こと渥美清さんの俳号です。弘法大師ゆかりの四国八十八カ所を巡る「お遍路」さんは春の季語になっています。全行程1200余キロ、昔ふうに言えばおよそ300里を徒歩で歩くと、健脚の人で45日、やや遅い人だと60日つまり2カ月もかかる大旅行。これだと気候のいい「春」でないとなかなか走破出来ないということでしょう。今ではバスツアーで季節を問わず巡ることもできますが、それでも全霊場の山坂を登り降りするのは、若くて元気なうちでないとしんどいでしょう。とはいえ、若いうちはヒマが取れず、結局行かずじまいで歳取ってからもうムリと諦める人が大半でしょう。でもそこはよくしたもので、同等の御利益を手っ取り早く得られる工夫を先人も考えました。中でもよく知られているのが、京都仁和寺の八十八カ所巡り。お寺の北側の成就山の坂道の途中途中に、四国八十八カ所を模した小ぶりなお堂(札所)が設えてあります。ここだと全行程3キロ約2時間でまわれます。仁和寺という立派なお寺のおスミつきですから、御利益を得られるに違いありません。私も四国の本家のほうは訪ねそびれてしまいましたが、幸い仁和寺の札所巡りは体験することができました。ここなら体力に自信のないシニアでもムリなく札所巡りができます。仁和寺といえば京都でも指折りの桜の名所。お花見どきにでも一度訪れてみてはいかがでしょう。京都まで出掛けるのもおっくうだというシニアには、さらに簡便な方法で御利益にあずかれるお寺が東京にもあることを最近知りました。西早稲田ににある放生寺というお寺(隣りにある穴八幡宮とは神仏習合で神社の別当寺として対の関係です)で、毎年巡礼のシーズンに合わせ四月十八日に、四国八十八カ所から取り寄せた砂の上を参拝者が踏む「お砂踏み」という行事が執り行われます。これは、足腰の弱い人にもお遍路したのと同等の御利益をということで考案されたものでシニアにはうってつけです。ここまで行ったら、ちょっと足を伸ばして近くの戸山公園にある「箱根山」に寄ってみるのも一興でしょう。本家とはくらべものにならない僅か45メートルほどの超低山ですが、新宿区内では最高峰とか。こちらもお花見シーズンがお勧めです。(写真 西早稲田「放生寺」)