MOBA・幸語歳時記「海の日、山の日」

祝日の話が続きますが、七月の「海の日」と対のように八月には「山の日」があります。どちらも比較的新しく制定された祝日ですが、夏真っ盛りに相応しいのと、もともと七、八月は祝日がなかったので、二つまとめてサービスしたのかと思っていたところ、この二つにはずいぶん違ったところがあるのをご存知ですか? まず制定された時期も海の日が1995年、山の日は2016年と、ばらばらです。海の日はもともと7月20日が祝日ではないけれど「海の記念日」とされていたことから、当初いったんは7月20日とされたのですが、学校の夏休みの終業式と重なることもあって、それならと、7月第3月曜日とし、連休になるように取り計らった(日曜と連休になる月曜祝日をハッピーマンデーというのだそうです)という経緯があります。そこで海の日は年ごとに日が「移動する祝日」になったというわけです。これに対して山の日は8月11日と「固定された祝日」のはずでした。ところが制定後ほどなくして東京オリンピックの開会式と重なりさらにそれが新型コロナの影響で1年延期になるとかで、急遽2020年と2021年の2回、特例法により日にちを変更しました。そのせいで、山の日も年によって変わるかのように錯覚され、ややこしくなりました。だいたい、8月11日にきめたのも、お盆休みに合わせて休暇が取りやすいからといった理由のようですし、制定のきっかけも「海の日があって山の日がないのはおかしい」という作曲家の船村徹さんの一言できまったとか、海の日とくらべてなんだかムリして作った祝日の感がなくもありません。それはさておき、海の日の元になった「海の記念日」のほうは、いささか個人的な思いがあります。7月20日が古くから海の記念日とされたのは、明治天皇が「明治丸」という機帆船で、北海道までご巡幸に出発された日だということですが、この明治丸を子供のころ、毎日眺めて暮らしていたからです。というのも、この船が係留されていた東京商船大学(現東京海洋大学)のある越中島の対岸に生家があったので、否応なしに毎日目にしていたからです。あまり詳しい由来などは知りませんでしたが、いつも手入れがされているらしい真っ白で優美な船体と西洋風の船着き場の建物が、なんとなく子供心にもロマンをかきたてられたものでした。今は、陸地の上で重要文化財として保管され見学もできるようですが、海の日になると、ふと子供の頃に毎日眺めた光景が浮かんでくるのです。(写真 明治丸 東京の観光サイト)