幸せを感じる季節季節のことば(季語)を探す旅が「幸語歳時記」ですが、そんなことばの中でも、日常の小さな幸せをさりげなく言い表し、共感を覚える季語が「日脚伸ぶ」でしょう。冬至を境に日を追って少しづつ伸びていく昼間の長さが、気がつけばかなりの長さまで伸びている、それを実感するのがそろそろ暦の上では冬も終わろうという一月半ば過ぎのようです。季節の移ろいとともに規則的に日が伸びていくのは当たり前のことで、短い春はアッと言う間に過ぎ、日が伸び切った先には、またあの堪え難い猛暑が待ち受けているというのに、なぜか心愉しい、そんな気分を「日脚伸ぶ」は穏やかな語感を伴うやまとことばで表わしていて、同じ時季の「待春」や「春隣り」などとは違った心の動きが感じられるようです。◆◆「日脚伸ぶ愉しき明日が待つ如く」(菊池初音)「よきことの一つ日脚の伸びしこと」(京極杞陽)「心まず動きて日脚伸びにけり」(綾部仁喜)どの句にも余計な小細工などなく、ささやかでもほのぼのとした幸せ湧く話句だと思いませんか。

