➲MOBA・知っトク「サプリ考」

テレビをつけても、ネット上も、そして新聞チラシも、健康、美容の通販であふれかえっています。まるで、ガマの油売りやバナナの叩き売りのような様相です。本来こうした商品はもっと冷静に判断できる環境で選ぶべきもので、大騒ぎして丸め込んで買わせるやり口はどう見ても正常、正道とは思えません。そんな中、「紅麹」問題が起きました。紅麹そのものが悪いというより、製造工程で未知の異物が入ったというのが真相のようですが、ちょうどいい機会ですので、利用する側も頭を冷やし、健康商品を見直してみましょう。ごくごく基本的な知識は購入の前に持ち合わせていたいものです。とはいえ、商品の範囲も広く、薬機法とか景表法といったややこしい規定も絡んでくることなので、ここでは単純化のために、ふつう「サプリ」と呼ばれる「機能性表示食品」に絞って、かしこく選んで利用するポイントを述べることにします。◆そもそも「サプリメント」はクスリではありません。でも、あれだけ効果があるあると宣伝されると、ついクスリとゴッチャになってしまいます。見かけが錠剤状で区別がつきにくいものとして、❶いわゆる「クスリ」(医薬品)❷「トクホ」(特定保健用食品)❸いわゆる「サプリ」(機能性表示食品)があります。まずこの3種類の違いから入りましょう。❶は「効き目がある」と「国が認可」したものです。国の厳格な審査を通るためには、きめられた臨床実験などによる有効性の実証を必要とします。そのためにはとうぜん多額な研究開発費、開発期間、研究員の人件費なども要します。❷も同じく「国から認定」を受けたものですが、カルシウムとか鉄分といった有効成分が国の定めた基準通り使われていれば「トクホ」と表示して販売できます。まあ、国のおスミつきサプリといってもいいでしょう。これらに対して❸は事業者(企業)が「効き目があるという合理的な根拠」を「国に届け出」すれば、手続き上の不備などがないかぎり「受理」されます。効果の表示も「事業者の責任」において行われ、今回の紅麹のような問題が起きない限り国は関与しません。ですから、宣伝広告やトリセツをよく見ると「効果がある」「実証されている」「認められている」とは言わず「これこれしかじかの効果が報告されています」という曖昧な表現を採っているのです。つまり効くかどうかはその業者をあなたが信用するかどうかの判断に委ねられていると言えます。だからこそ大騒ぎな宣伝につられることなく冷静に構えることが必要なのです。◆次に、価格について少々触れておきましょう。大方の「サプリ」の値段は、1カ月分5千円台から6千円台と、クスリの錠剤とほぼ同じ程度に設定されており、勧められるままに何種類も定期購入したら、年金生活者のシニアにとってはバカにならない金額です。昔から「クスリ九層倍」と言われるように、クスリの原価率は低いとされています。でも、前述のように医薬品は国の認可を得るまでに膨大な研究開発費や期間を要しますので、致し方ないという面はあります。一方、届け出だけで済むサプリの価格は正直いってどうかなあ、と思います。この種の商品は「高ければそれに見合う効果が期待できる」と思いがちです。それをいいことに、割高に設定している傾向がないとはいいきれません。また、いったん買った顧客の多くはつい毎月定期購入してしまいますから、この分には広告宣伝費がかかりません。「定期購入だと××円おトクです」という表現がよく使われていますが、ちょっと引っかかります。どのくらいの原価でどれほどの宣伝販促費なのかは、大手企業の場合、公開されているIRでもだいたいわかります。まあ、値段に見合う商品かどうかも買う側の自己判断、自己責任ですから、これ以上どうこう言うこともないでしょう。◆こんなふうに言うと健康食品を否定的にとらえていると思われるかもしれませんが、そうではありません。自分に当てはまりそうな商品を冷静に選んで賢く利用することで、シニアの強い味方になるに違いありません。サプリを摂るだけで、ぐんぐん足腰が丈夫になったり、老化や認知症が防げたり、病気が治るわけではありませんが、利用を始めるのをきっかけに、より健康に留意するようになり、運動にも心がけるなど、生活習慣の改善に努めること、これらの「合わせ技」でこそ、その効果は期待できると考えるべきでしょう。