「幸福学」という学問があるそうです。この研究の第一人者として知られているのが慶應義塾大学大学院の教授で武蔵野大学でも学部長をつとめておられる前野隆司先生ですが、先生によると「幸せの4因子」というのがあって、その4因子とは「ありがとう」「やってみよう」「なんとかなる」「あなたらしく(または、ありのまま)」なんだそうです。これを聞いて、思わずウーンと唸ってしまいました。さすがですね、難しい「幸せ」のキーワードをたった4語でズバリ言い当てるなんて!! こんな良いことを聞いたときは、善は急げ、頭にたたきこんで誦んじるのが一番と、さっそく実践しようとしました。が、ほんの4語だというのにどうもスラスラと出てきません。恥ずかしながら、丸暗記はマルで苦手です。しかたなく、語呂合せのようなものをいろいろヒネってみました。暗記が得意な右脳型人人から見たらバカみたいな話でしょう。それでも無理矢理、「あなたらしく」の「あな」、「ありがとう」の「あり」、「やってみよう」の「や」、「なんとかなる」の「な」を、関西ふうに訛って「穴・あり・や・な」ととなえ、「穴」は「突破口」に充てるとなんとなく幸せのオマジナイらしくなりました。何かに行き詰まったときなど、「幸せの4因子」を思い浮かべることで、幸せな気分になれそうな気がします。◆◆でも、4因子の中からさらに一つを選ぶとしたら?と問われれば私なら迷わず「ありがとう」を選ぶでしょう。私たちは何かにつけて他人に対しては気軽にこの言葉を口にします。ところがかえって身近な人に対してほど言いそびれがちなのが「ありがとう」ではないでしょうか。この頃よく、スポーツ選手が表彰台に上ったときなど、親兄弟や周囲のサポートしてくれた人への感謝を口にします。それによって、きっと入賞の喜びは何倍にも増したはずです。われわれ凡人にしても、過去にいろいろあったとしても、ともあれ、今こうしていられるのも、周囲の支えのお陰に違いありません。躊躇なく「ありがとう」を口に出すようにしたいものです。私自身も、いい年寄りと思われたくて、できるだけ「ありがとう」と言うようにしていますが、なかなか身内には照れくさくて言えません。特に、息子には、男同士の意地といおうか面と向かって言えません。それでも、最近は、暑い時期に代わりに墓参りして貰ったときとか些細なことでも「ありがとう」と口にしたりメールするように心がけています。「ありがとう」は口に出したとたん、なにかスッと気持ちが軽くなる不思議な言葉です。

(写真:写団けやき 土田厚実)
