朝のテレビは、グルメ情報であふれれかえっています。登場するタレントが料理やスイーツを取っ替え引っ替え試食してはさも美味そうに、目ン玉をまん丸にして「ウーン オイシイー!!」を連発しています。他のチャンネルに切り替えると、そこでもまた目ン玉まん丸「ウーン ウマイ!!」の画面が飛び込んできます。どの局も、紹介するグルメやスイーツは違っても、絶品だと推賞する演技はステレオタイプ。朝に限らず、食を扱う番組はやたら目につきます。よくもまあこれほど毎日グルメ情報を流して飽きないものだと呆れるほどですが、それだけ視聴者側も食い物に関心があるということでしょう。その一方で、ダイエットを目的としたジムやサプリの宣伝もさかんです。こうしたテレビの画面を見るにつけ、日本はなんとまあ平和で幸せな国だなあとつくづく感じます。世界中には飢餓状態で苦しむ国はまだまだ多いし、栄養失調の子供は5千万近くに上ると言われます。飢餓まではいかなくとも、日本より貧しい国、戦争や紛争の火種を抱える国、行動の自由が制限される国などは数多く存在します。◆◆国連の発行する「世界幸福度報告書2024年度版」によれば、日本は幸福度ランキングで51番目だそうです。順位は、各国それぞれ無作為で抽出した1000人に質問し、自分の暮らしが最高に幸せだと感じていれば10ポイント、最悪だと感じて居る人は0ポイントとした11段階のポイント数の合計できめるのだそうです。つまり、自分が幸福だと感じている人の割合が多い国ほど順位は上になります。年度によって変動はありますが、日本はいつも50番台のようです。でも、幸福度の感じ方は国民性また人それぞれによって違うのではないでしょうか。日本だと最高に幸せそうな人でも「僕かあ幸せだなァ」なんて口に出そうものなら、「あいつはオメデタイ奴だ」と言われそうでつい控えめになってしまうということもありえます。ある順位の国の人をもっと順位の高い国に連れて行って暮らさせたら、果たしてより幸せと感じるでしょうか。◆◆ランキングの上位には北欧諸国が目立ちます。確かに社会福祉や所得水準は高いかも知れません。でも、午後二時を過ぎれば夕闇がただよう暗く長い冬の暮らしに、少々貧しくともさんさんと太陽が輝く国の人が住んだとしたら幸せと感じるでしょうか。1位、2位のフィンランド、デンマークはともかくとして、3位は全人口僅か30万人足らずの絶海の火山島アイスランド。その暮らしに、お祭りやらイベントやらでなにかというと大勢で騒ぐのが好きな日本人の多くが馴染めるでしょうか。そして4位がスウェーデン、6位がオランダと、このへんはまあこんなものかなといったところですが、オランダより上の5位にランクされているのが、なんとイスラエルなのです。意識調査した時期はまだガザの紛争が激化する前だったのかも知れません。それに、ある特定の国の人々の幸福感を口出しするのは失礼だとは承知しています。それにしても、いつ戦乱に巻き込まれるかわからない不安定な地理的条件、政情の中にあっても、多くの人々が他国より幸せだと感じていることは驚きの一語に尽きます。◆◆以前テレビで、アフリカのある部族の大家族を取り上げたことがありました。まだ一夫多妻の風習が残るその家族は、1人の男性の家長、3人の妻と20人近くの子供からなる大家族です。暮らしは我々のものさしで測ればけっして裕福ではないでしょう。同じ屋根の下で、3人の母親とそれぞれの子供たちと一緒の生活なんて想像のほかです。でも、その母親の一人である女性は「私はこんなに大勢の家族と楽しく毎日暮らせてとっても幸せだ」と、輝くような笑顔を見せていました。ことほどさように幸福の感じ方は、人それぞれや、民族性、生きてきた環境や、歴史、宗教上の価値観などさまざまな要素によって大きく変わるものだと思います。51番目だからといって、ガッカリすることもないし、自国をことさら卑下する必要もないでしょう。 (写真 オランダ アムステルダムの運河)

